■ご挨拶にラストシーンを添えて

ライオン・パーマ35回公演
『海辺のメロ刑事』にご来場頂き
誠に有難うございました

僕たちが作った刑事ドラマ
無事幕を閉じました

犯人は出て来ません
死者も出て来ません
ルイの足に口紅で描いた赤いヒゲ三本と
西条の左足の応急処置で済みました

その割にはスリリングだったじゃないか!
と、思って頂けたら嬉しいです

ちなみに、皆さんから聞かれるので
後日談をここに残します

ボスはあの後どうなったか、と聞かれれば
ボスは生きています
ハワイで女と暮らしています
そうは思われたくないために
あんな手の込んだ手紙を送りました
勿論、それを読んで刑事がどう反応するか
も計算した上で

なのでこれが映画なら
ラストシーンのカットはこうなります
年配の男がハワイの
ビーチで日焼けしているシーンです
帽子を顔に乗っけているので
最初は誰かわかりませんが、横から
映った顔でボスであるとわかります
そして隣には勿論、新しい女をはべらせています
ブロンドヘアーに白いワンピースの女の横顔が
グラスにでかいフルーツがグサっと刺さった
不味そうなドリンクをストローごしに
無駄に唇を尖らせてチュウチュウ吸ってます
『あなたも飲む?』
そう言ってボスにグラスを差し出した女は髪が
ブロンド以外は全て麻美でした
ボスと麻美は刑事達にいっぱい食わせたのです
追い詰められたとはいえ
10年以上悪に手を染めてうまいこと
やっていた2人です
刑事たちを丸め込むこと
くらい簡単なことでした

ハワイのビーチでまどろむ男女
そのカップルを抑えたアングルは
ゆっくりと上に上がり
やがてボスとブロンドは小さくなり、点になり、
そして見えなくなり、代わりに
青々としたハワイの海が
スクリーンいっぱいに広がり

海辺のメロ刑事

『完』

最後までお付き合いありがとうございました

皆様がこんなどうでもいい物語を
いつまでも楽しめるよう
健康でいられますように

ライオン・パーマ 加藤 岳仁



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